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ゆかたの思い出

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すっかり暑くなったので、浴衣を取り出してチェックしてみました。
この綿絽のゆかたは10年くらい前に作ったもの。
初めて自分の好みで選んだものです。
 
その頃ある雑誌の付録に、浴衣特集の小冊子がついたことがありました。
奥州紬、綿絽、綿紅梅、絹紅梅など、この小冊子で初めて知りました。
また、私の好きなモデル・女優さんが、いろいろな浴衣を着ていて、とてもすてきでした。
その小冊子は単に浴衣の紹介だけに終わらず、どういう場面にどういう浴衣が合うかも説明していました。
お稽古や食事、花火大会、銀座で買い物…と、いろいろな状況に着て行くことが提案されていたのです。
今思えばかなり画期的な企画だったんではないか、と思います。
 
さて、上の浴衣ですが、その小冊子に影響されて作ったものです。
 
折しも、NHKホールでのイベント(野村萬斎さんプロデュースの、浴衣で狂言を見る会)のチケットを入手済み。
これに出かけるついでに久しぶりの東京をお散歩しましょ、という計画で出かけました。
 
 
その時、忘れられないことがありました。
 
それは、某老舗を覗いたときのことでした。
 
店内で目の保養をさせてもらっているときに、若い女性店員さんが、にこやかに、
「お祭りがあるんですか?」
と声を掛けてくれました。ぜんぜん、まったく、いやみはありません。
「いえ~。着てみたくなったんで、着ました」
こちらもにっこり、答えました。
すると、先の店員さんが、ちょっと驚いたような表情をしたのです。
その瞬間、すかさずもう一人の年配の男性店員さんが、にっこり、言ったのです。
「涼しそうで、良いやぁね!」
 
気を遣ってくれたんですね・・・
 
そのお店は、リーズナブルなものも扱っていますが、老舗です。
その店員さんも、普段は江戸っ子みたいな口調で接客はしないと思います。
でも、私が萎縮しないように、そんな風にフォローしてくれたんだと思います。
いや、そのときは、気を遣ってくれたことさえ気づかず、気持ちよーく帰宅したのですが、何年かたって、ちょっと大人になって、振り返ってみると、そうだったんだなあ・・・と。
 
いくら雑誌で「OKです!」と紹介していても、いくら素足でなく足袋も履いていたとは言っても、たぶん、10年前は、まだそういうスタイルでの外出は一般的には市民権を得たとは言い難かったのでしょう。
 
けれどもその店員さんは、私に非難めいた目を向けることなく、かろやかに肯定してくれたのです。
頭が下がると同時に、ああいう大人になりたい、とこの浴衣を着るたび、思い出します。

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「きもの」カテゴリの記事

コメント

そんな事があったのですかぁ。
キチンとしたお店にはちゃんとした店員さんがいるのですね。

雑誌に書いてあることって、もしかすると結構いい加減なことが多いのかも~という気がする時があります。(特に着物について)

そうでした!すっかり遅くなりましたが、こちらでもブログ外リンクのコーナーに入れさせて頂きました~。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: りら | 2006年7月14日 (金) 16時31分

りらさん
リンクありがとうございます。
恐縮です~。

雑誌・・・記事が、「こういうのもいいと思います」という編集部の意見なのか、「こういうものが一般的に認められています」という紹介なのか、その区別をはっきりさせて欲しい、と思うことがあります。
自分で判断・・・できればいいけど、なかなか難しいし。

投稿: 花兎 | 2006年7月15日 (土) 23時52分

若い人が着ると、特に「浴衣を日常に」を違和感無くこなすのは難しいでしょうね~
お年を召した方だと、着慣れた感じになるのかも知れないけれど、若い人が浴衣に足袋を履いて...だと、「何かのお稽古ですか?」って感じになってしまいますね。

半襟をつけて、足袋を履いて、綿着物風に着るのなら、「いけるかも・・・」と思いますが、まだ挑戦したことはありません~

投稿: uzuz | 2006年7月16日 (日) 16時12分

uzuzさん
ほんと難しいですよね。
もっとも、これ(↑)は10年前の話で、今はまた、だいぶ事情も変わってきていますよね。
今では浴衣の生地も驚くほどいろいろありますし、柄も多様なので、「ゆかたでお出かけ」も、昔よりずいぶん認知されてきている気がします。

投稿: 花兎 | 2006年7月16日 (日) 18時45分

素敵な浴衣ですね!
ボストン美術館にはこれで行かれたのですか?
浴衣姿(着物?)を拝見したかったのに、写真がなく残念です。
確かに、記事を読んでる途中で、花兎さんの大変そうな姿が想像できました…。

投稿: 熊五郎 | 2006年7月17日 (月) 17時05分

熊五郎さん
えへ。
ありがとうございます。
はい、これを着ていきました~。
熊五郎さんの有松絞りの浴衣を見て、私も祖母の形見を出そうとしたのですが・・・
猛暑と息子連れということを思い出してやめました。
絞りの浴衣を家で洗う自信はないけど、このゆかたなら手洗いできますから・・・

投稿: 花兎 | 2006年7月18日 (火) 23時38分

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